1:目的1-バランスを維持する体幹
例えばクレーン車やショベルカーなどのアームが自由に動かせるのは、本体がどっしりと安定しているからです。人間や動物に言い換えると、クレーン車の本体が胴体=体幹にあたります。胴体=体幹が安定しているからこそ、クレーン車のアームにあたる四肢=手脚を自由自在にコントロールできるのです。しかし
人間が運動する時はクレーン車のように常に静止しているわけではありません。
サッカーはじめ多くの対戦競技では相手と不意にぶつかり突発的にバランスを崩す場面が多々あります。その度にバランスを崩しては相手に勝てません。つまり激しい動きの中で突発的な衝撃に対しても
瞬間的に安定を維持できる体幹を作る
のが体幹トレーニングの目的の1つです。
では目的その2とは?
2:目的2-力を伝える体幹
- 飛び上がる瞬間に体幹にかかる衝撃
- 着地の衝撃に体幹が耐えられず崩れた状態
を表しています。飛び上がる瞬間に体幹が崩れると
地面から反発力がダイレクトに体幹に伝わらず
高く速いジャンプができません。
着地の時も同様に体幹が崩れると、地面からの反発力を受け止められずに次の連続ジャンプが素早くできない上、このような崩れた体幹のまま運動を続ければ腰などを痛める可能性もあるかもしれません。
これはジャンプに限らず走る、止まる、など運動における基本動作全てにあてはまります。例えば「バランスを維持する体幹」と同様、サッカーやバスケットボールなど小刻みに走ってストップ・ターンを繰り返すような激しい競技でターンのたびに体幹が崩れては力が伝わらずスピードのある動きになりません。このような場面に対応するために
衝撃で崩れない「力を伝える体幹」を作る
のが体幹トレーニングの目的の1つです。また、この力を伝える体幹を「コアスタビリティ」ともいいます。
▼各種の体幹が力を伝える場面▼
さらに目的その3とは?
3:目的3-コアマッスル
体幹トレーニングをコアトレーニングと呼ぶ事もありますが、「コア」とは「コアマッスル」つまり腰回りの円筒形を取り囲む前部(腹横筋や腹筋群)、後部(腰方形筋、多裂筋、脊柱起立筋)、上部(横隔膜)、下部(骨盤底筋)、などを指します。
これらの体幹インナーマッスルを"鍛える"ことでバランスが良くなったり体幹が強くなる、というわけではありません。しかし
手足を動かそうとする時、体幹を安定させるためにまずこれらのコアマッスルが働く
つまり「バランスを維持する体幹」「力を伝える体幹」どちらの体幹もまず
コアマッスルが瞬間的に働く
のです。なまので鍛えるというより
コアマッスルを「使える」ようにする
のも体幹トレーニングの目的の1つです。
では実際にどのようなトレーニングをすればこれら「3つの体幹」を鍛えられるのでしょうか?まずは3つ目のコアマッスルから。
4:コアマッスルとブリッジトレーニング
例えば下のような体幹トレーニング。
これはフロントブリッジ、プローンブリッジ、プランクなどと呼ばれる体幹トレーニングとしてよくやった事ある人も多いのではないでしょうか。この態勢のまま腹筋プルプルさせて30秒間キープ!みたいな・・・・。
この方法で、3つの体幹トレーニングの目的を達成することができそうもないのは言うまでもないでしょう。昔の部活とかでよく行われてた"空気イス"と大差有りません(→やってはいけない筋トレとは)。
ただし次に紹介する方法なら「3つ目の体幹=コアマッスルとのトレーニング」として俄然効果的な体幹トレーニングとなります。右のような体幹バランストレーニングの前段階としてとりいれるのはありだと思います。でも同じ体勢で我慢大会する必要はありません。
コアマッスルの1つである腹横筋(→腹横筋とは)は横方向のベルトのような筋肉なので、
お腹をひっこめるように力をいれる(いわゆるドローイン)
→腹内部の圧力が上がり腰回りが安定
する効果があるのです。ただお腹を強く引っ込めればいいだけです。
ではこのドローインのトレーニングを軽くやってみよう。プローンブリッジの体勢になって体幹を一直線に維持してください。そして
合図をしたら息を吸ってお腹をぎゅっと引っ込めてください。いきますよ。はいっ!・・・・・もう一度。はいっ!もう一度。はいっ!逆に吐きながらもやってみよう。
この腹内部の圧力 = 腹圧を作る事は、スクワットやベンチプレスなど各種ウエイトトレーニングにおいても体幹の安定を作るために重要です。逆に言うと、
スクワットやベンチプレスのような筋トレ自体が体幹トレーニングとしての効果がある
のです!
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では次は「バランスを維持する体幹」のトレーニング方法について。
5:バランスを維持する体幹のトレーニング
端的に言ってしまうと「ウエイトトレーニング」つまり筋トレをやればいい、ということになります。
体幹バランスにおいては、
コアマッスルと腹直筋・腹斜筋などの腹筋群、脊柱起立筋など背筋群
が体幹のスタビリティマッスル(固定するために働く筋肉)として働き、
肩・肩甲骨周辺をコントロールする三角筋・大胸筋・広背筋・僧帽筋、股関節をコントロールする大殿筋・中殿筋・腸腰筋・ハムストリングスなど
がモビリティマッスル(動かすために働く筋肉)として働きます。
(→スタビリティマッスル、モビリティマッスルについてくわしく)
逆に大胸筋や広背筋や殿筋がスタビリティマッスルとして機能したり、腹筋が下のイラストのようにモビリティマッスルとして働く事もあります。つまりこれらの
体幹の諸筋肉の筋力と柔軟性が弱いと体を支える事はできない
のです。体幹の筋力が弱いと下のようにただ走る、あるいは歩くだけでも
腹筋など体幹前側の筋力が弱く、動く時に体にかかる慣性力=つまり勢いに負けている状態
になってしまい、歩くだけでも体幹がぶれてグラグラ、なんてことになってしまいます。バック走では背筋など後ろ側の筋肉、横方向でも同じ事が言えます。サッカーなど相手とぶつかった時になども同様です。
筋トレで体幹の筋肉をきたえることでそのような
動きの中で突発的に体にかかる力に負けないぶれない体幹
を作ることができます。つまり
スポーツ競技のような激しい動きに限らず日常生活でも、体幹バランスは体幹筋の筋力によってもささえられている
のです。
また、正確なフォームで行うウエイトトレーニングは、体幹を支える4つの関節 = 左右の肩関節・肩甲骨と股関節の周辺の筋肉の柔軟性を向上し稼動域を高めます。
4関節の稼動域こそが体幹バランスを向上させるポイント
なのです。
例えば股関節の柔軟性がないと右のように体幹が崩れバランスも崩れるのです。
4関節周辺の筋肉の柔軟性が低く関節の稼動域が小さいほど体幹がひっぱられブレて負荷がかかり、
肩や腰、膝などを痛めやすくなります。そして体幹が崩れるという事は「力を伝える体幹」も崩れているということですね。
では具体的なメニューは
などが体幹強化のための代表的なウエイトトレーニングです。バーベル、さらにダンベルを使うとより体幹バランスとのトレーニング強度は増します。
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さらに次のようなブリッジトレーニングもやってみよう。
コアマッスル・腹横筋を意識しながら体幹がぶれないように腕脚を動かすのがトレーニングのポイント。
→四肢体幹トレーニングをさらにくわしく
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では残る目的「力を伝える体幹」のトレーニングとは?
6:力を伝える体幹のトレーニング
右のような「オーバーヘッドスクワット」は「力を伝える体幹」の代表的な体幹トレーニングです。通常のバーベルスクワットやスクワットジャンプなどもよいです。
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さてここまでは、どちらかというと「アスリート向け」なメニューでしたが、もっと気楽に体幹トレーニングはできないのかって?
7:ダイエット効果も?誰でもできる体幹トレーニング
もちろんアスリートでなくても高齢者、女性、運動初心者、誰でも自宅でも体幹トレーニングにとりくめます。体幹トレーニングの目的は、アスリートであろうとなかろうと同じなのはすでに解説したとおりです。どんな人であっても体幹トレーニングの3つの柱は変わりません。違うのは強度です。筋トレと同様
自分のできるレベルの強度に調節して行えばよい
のです。運動時間を調節すればダイエット効果だってもちろん期待できます。
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結び
どうだったかな?「体幹トレーニングとはなんぞや?」ということがわかってきただろうか。筋肉そのものを発達させる筋トレとは違うので、筋トレのように決まったトレーニング頻度というのもなく、疲労がなければ毎日でも手軽に取り組め、子供や高齢者の運動機能改善運動として続ける事も可能だ!
それでは3つの体幹トレーニングを、さらに本格的にほりさげて実践といこう!
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