1:腰方形筋のしくみと働き
腰方形筋とは上右のイラストのように腰椎と肋骨の一番下の背中側から左右の骨盤を吊り橋のようにぶら下げているような格好の筋肉で、ちょうど僧帽筋上部が左右の肩甲骨を頸椎からぶらげているのとおなじような感じです(→僧帽筋とは)。
背筋群の最も深部にあり、ローカル筋(→ローカル筋とは)です。
※頸椎から肩甲骨をぶら下げる筋肉は、他に肩甲挙筋という筋肉が僧帽筋の内側にあります。形状や働きはこちらの方がむしろ腰方形筋に近いかも知れない。
→肩甲骨の働き
僧帽筋と同様、つまり体幹のバランスにかかわる重要な筋肉で、コア・体幹トレーニング講座やウオーミングアップでも、肩甲骨や骨盤を動かすことを強調しているのはこのためです。
上体を真横にたおす(側屈)動作で腹斜筋とこの腰方形筋が共同
して働いて体を横に曲げています。
↓側屈筋の筋トレサイドクランチ
2:多裂筋のしくみと働き
脊柱起立筋よりも深部にある筋肉で、一見脊柱起立筋と同じように見える多裂筋ですが、構造と働きはぜんぜん違います。それぞれ解説していきましょう。
脊柱起立筋
3種9本の筋肉から成り立つ長背筋群で、脊柱に平行に走る長い筋肉で、脊柱(体幹)の伸展(起こす)に働く
- 腸肋筋----頸腸肋筋、胸腸肋筋、腰腸肋筋
- 最長筋----頭最長筋、頸最長筋、胸最長筋
- 棘筋----頭棘筋、頸棘筋、胸棘筋
多裂筋
短背筋群の一つで脊柱に斜め、各脊椎(頸椎、胸椎、腰椎)骨を斜めにまたぐようにつながっている筋肉で、脊椎の回旋(体幹をねじる)に働く
- 頸多裂筋
- 胸多裂筋
- 腰多裂筋
多裂筋は各脊椎骨を回旋、つまり横に回すための短い筋肉です。多裂筋は斜めに筋繊維が走っているので伸展にも働くのが特徴です。短背筋群の中にはもっと横向きの回旋だけに働く回旋筋という筋肉もありますが、
- 回旋と伸展を同時にできる多裂筋のおかげで複雑な体幹動作ができる
のです。逆にそれゆえに、特に腰多裂筋は痛めやすい筋肉なのかもしれません。
では腰方形筋 、多裂筋の筋トレ方法について考えてみよう。
トレーニングと言っても筋トレというよりは、腰方形筋を動かして「バランス感覚をやしなう」体幹、つまりコア・体幹トレーニングのつもりでやってみよう(→コア・体幹トレーニング講座)。
3:骨盤歩きで腰方形筋・多裂筋をきたえよう!
こんな運動、やったことありますか?骨盤歩き、ヒップウオークなどと言われるこの運動種目は、意識しにくい腰方形筋や多裂筋のような骨盤から腰周辺のインナーマッスルを確実に動かしてくれる運動です。筋トレというよりは、
腰を動かすことで体幹の柔軟性やバランス感覚をやしなう体幹トレーニング
としてやってみよう(→コア・体幹トレーニング講座)。また、この骨盤の動きは「ローリング動作」とも言われ、ランニングのウオーミングアップにもよい。
骨盤を意識して動かす
ことを身につけるには最適なトレーニングだ!骨盤歩きのポイントは
- ★足は使わずにおしりで歩く
- ★両腕を使って体幹のねじりでバランスをとる
- ★慣れてきたら足も地面から浮かせる
前に進むだけでなく後ろへ進んだり、競争したり、鬼ごっこをしてもおもしろい。このような体幹トレーニングは楽しくやるのがコツだ。
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結び
これで背筋をひととおり見てまいりました。特にこのページの腰方形筋・多裂筋のような典型的なインナーマッスルはなかなか意識することはない筋肉ですが、「体幹のこんな筋肉がこんな働きをしてくれているんだ!」と思うとどんなトレーニングでも何かが変わってくるかも。
さて残りの筋トレは腕です。力こぶです。やはりあこがれですね。でははじめましょう。