1:かかと接地とは
結論から言いましょう。かかとからの接地はアウト
です! スピードの遅い徒歩やジョギング程度、あるいは下り坂ならかかとから接地してもやむをえませんが、スピードを上げるにはダメです。
かかとから接地するということは、接地直前の足の方向が、下のアニメの紫の矢印のようにななめ前方から地面に向かっていきます。これはかかとが前方に進みながら地面と"正面衝突"するのと同じ事なので、下のアニメの赤矢印のように地面から
進行方向と逆方向に力が足に加わりブレーキがかかってしまう
ことになります。
さらに「かかと→つま先」へと順に地面に接地していくことになるので
接地時間が長く
なり、ふくらはぎの筋肉=腓腹筋が
瞬間的に収縮しアキレス腱を引っ張ってパワーを発揮させる伸張反射(→伸張反射とは)
も生まれません。つまりかかと接地は
- 足の地面との接地時間が長くなってスピードが出ない!
- 進行方向とは逆方向の力が足に加わりスピードにブレーキがかかる!
- ふくらはぎの筋肉が使えない!
※特に膝が真っ直ぐに近いくらい伸びた状態でかかとから接地すると、膝関節が過伸展(膝が逆折れ)する方向の回転力が膝に加わり安くなります。これは大変恐ろしい状態ですね。下り坂では特に注意が必要(→膝の過伸展による怪我について)。
では逆につま先から接地するとどうなるのでしょうか?!
2:つま先接地(トゥ・ストライク、フォアフット・ストライク)とは
ほなやっぱりつま先接地やね、中学ン時の体育の先生もゆーとったしなちがうっ。つま先から接地するということは、接地の瞬間はふくらはぎの腓腹筋が収縮した状態です。
接地時に筋肉が収縮しているという事は、伸張反射で解説したように、
「筋肉がアキレス腱を引っ張って瞬間的なパワーを発揮させる」ことがやはりできません。
そのため腓腹筋を伸張させるために、
接地してからいったんかかとを下に押し下げる必要
があり、結果
接地時間が長くなってロス
です。つまりつま先接地は
- 足の地面との接地時間が長くなってスピードが出ない!
- 押し下げる方向も進行方向とは逆方向に近いのでさらにスピードにブレーキをかけてしまう
のです。つま先走りで地面との接地時間が短くタタタッて走ってるように見える場合は、かかとが押し下げられず腓腹筋が使えてない走りです。結局、速く走っている人はかかと接地もつま先接地もしていないのです!
なんとどちらもアウトとなってしまいました。ではどんな接地方法がよいのか、いよいよ本題です!
3:フラット接地とは
力を出すという事は
「重力に逆らう事」
です。重力は垂直に働きます。ならばその重力に逆らって力を加えるには
垂直=真下方向に力を加えればよい
のです。垂直真下方向に力を加える事で
地面からの反発力「地面反力」を得て力をスピード・パワーに変える
ことができるのです!(ニュートンの第三法則=作用・反作用の法則)
それにはつま先でもかかとでもなく、足裏全体=フラットに接地します。フラット接地ならば
- ★上から真下に地面をふみこむのでかかとやつま先接地のように前方からブレーキ力もかからない!
ではこのフラット接地のメカニズムをくわしく解説だ!
4:フラット接地のメカニズム
ただし誤解してはいけないのはフラットといっても足裏を完全にベタっと同時に地面に着けるわけではありません。
接地するのは母指球を中心とした前足部(上足底)でかかとは地面からぎりぎり1センチか2センチくらい浮かす
のです! これによってつま先接地とは逆に、
- ★接地と同時に腓腹筋が瞬間的に伸長され伸張反射でパワーが発揮される!
- ★接地時間も短くすることができる!
のです。ようは走りながら浅いスクワットを繰り返しているのに近いと思えばよいのです。
→力を伝える体幹 - ダイナミックコアスタビリティとスクワット
そして接地、さらに地面から足が離れた瞬間、おそくとも
次の接地までにはつま先を上げた=トゥー・アップの状態
にします。
トゥー・アップの状態 = フラットの態勢
だからです。つま先が下がった状態のままだと言うまでもなく"つま先接地"になってしまいますね。
接地時にかかとが落ちないような素材・設計でソールが作られており、前足部で地面反力をとらえ速く力強く走るためにつくられたシューズ。
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スタートから加速時は体を体重移動のため体を前方へ大きく傾けて足を後方へ押し出す形になるのでつま先接地のような形に近いような気がするが、地面に効率的に力を加えるには頭から足まで体全体をまっすぐにしなければならない。接地時間も長めで地面をガツッガツッと力強く押し出していく。スクワットを前方に傾けてやっている状態をイメージしてみよう。やはり力を加える方向は"真下"ある事には変わりはない(→力が伝わる体幹)。アニメで見かける"忍者走り"はありえないということですね。
では接地方法に加えてさらにスピードをアップする方法とは?!
5:腹筋をきたえると走りが速くなる!
フラット接地をするために「重心を真下に踏み込む」には、
上体が下半身の真上に確実に追いつくか先行
しなければなりません。逆に上体が遅れて足の方が先行してしまうと、真下に踏み込むことができずかかと接地になりやすい。遅れる原因の一つに体幹、特に腹筋などの前側の筋力が弱いため、加速による慣性力に負けて上体を前傾できないことがあります。
▼こちらも!
結び
フラット接地とつま先接地の違いがわかりにくい場合は、かかとの下に1センチくらいの板などをはさんでハーフスクワットをやってみよう。「走る」とは「地面を踏み込む」こと!このフラット接地の方法をフォアフットと呼ぶ事もありますが、やはりしっかりフラットに踏み込む事を意識させるために「フラット」の方がいいと思います。
ではこのフラット接地のトレーニングでさらに詳しく足の使い方をマスターしよう。そしてそれは同時に伸張反射と筋収縮速度を向上する神経系トレーニングの基本であるプライオメトリクストレーニングの基本にもなる。いよいよ実践開始だ!!