1:プイオメトリクスジャンプの回数は?クイック・アジリティーのセット数は?頻度は?
・・・残念ながら筋トレみたいに目的に応じた具体的な回数やセット数といった明確な指標や決まった頻度のようなものは、プライオメトリクスやアジリティー、クイックネスなど神経系ファンクショナルトレーニングにはありません。
これはまさに、競技の技術トレーニングにも明確に「どれくらい」というのがないのと同様「神経系」の問題だからだと思います。でもある程度の目安なら決める事はできるので「疲労を蓄積しない」事をテーマとした神経系ファンクショナルトレーニング計画法を考えていこう!
2:評価 - 回数以上に大事な事
プライオメトリクス、クイック、アジリティーほか神経系ファンクショナルトレーニングはフォーム、動き、重心移動のタイミングなど技術的な要素が多くを占めます。そのためその技術が正確に実践できていないと、回数をこなしてもまったく意味はありません。それどころかレベルが高いほど
筋肉、腱、関節などに強い負荷がかかるため、誤ったフォームで続けると怪我・傷害のもと
です。回数や頻度を考える前にトレーニングの目的と動きを正確に理解して実践できているか、自分で何度でも評価しよう。レベルが上がっても常に自己評価できるように、技術・フィジカルレベルだけではなく「評価の目」も向上するように心がけよう!
3:プライオメトリクストレーニングのプログラム計画
パワー・爆発力
ジャンプメニューの多いプライオメトリクストレーニングのうちパワー・爆発力の向上は、ほぼ筋肉トレーニングと同様なので、筋トレのセットプログラム作成とほぼ同じ考え方でよいです。
違いは"完全疲労までおいこまない!"こと。これは神経系全てに言える事ですが、最大パワー・最大スピードを維持できなくなるほどの疲労はかえってマイナス効果です。
ウエイトトレーニングでのパワーアッププログラムの例
- 1RMの40から50%(※または最大筋力の30%)の負荷で全力5回または5〜7秒以内で全力反復→なぜ5秒か
- インターバル3分以上
- 4〜5セット
- 週2日か2〜3日置き
※最大筋力とは通常、等尺性収縮(=アイソメトリクス)で発揮する最大の筋力をさし、1RMつまり等張性収縮=1回だけ挙げることができる負荷はだいたい最大筋力の70%程度。→RMとは?
連続ジャンプ
伸張性反射と筋収縮速度(→伸張性反射とは?)の向上をめざしていますが、筋トレのような明確な回数設定が難しいのがここからです。ジャンプの場合はある程度の目安は考えられていますがあくまで参考程度にしてください。
ジャンプする合計回数(片脚でのジャンプは0.5回)を決める
★基本パターン
- 初級レベル----最大70〜100回、上級レベル----最大170〜200回
※中学生以下は7割、小学生以下は5割程度、または体力レベルに応じて数をおさえる- 全力5回または5〜7秒以内で全力反復→なぜ5秒か
- セット間インターバル3分以上
★競技シーズン中
- セット間インターバルを1分、競技によってはさらに少なくしてパワー持久力や回復力の強化をめざす。
→ハイパワー・インターバルトレーニング - セット間インターバルが短い分疲労が蓄積しやすいので基本パターンの5〜7割程度の回数におさえる
基本ジャンプだけで何十回、バウンディングジャンプだけで何十回というふうに1種目だけではなく、複数の種目のジャンプの合計回数にします。強化したい種目や動きの割合を増やしてもよい。
定期的にジャンプの高さや距離が向上しているかどうか確認・評価をしよう。向上レベルが低ければ、フォームが問題なのか、疲労の蓄積が原因かを評価し、トレーニング量(インターバル、セット数、頻度など)を調節する
4:クイックネス・アジリティー・スピード総合ドリル
クイックネスやスピードを高める体重移動やアジリティー=敏捷性を高める加速、減速、方向転換技術などは、正確な動きをマスターできるまではゆっくりでもいいので何回でも、毎日でも納得いくまで練習しよう。
個々の技術を確実にこなせるようになったら、総合ドリルにチャレンジです。上記のプライオメトリクスと同様のセット間インターバルで数セット、異なるドリルで十数セットやってみよう。
頻度はプライオメトリクスよりも少し多めで1日置きくらいでも良いが、トレーニング内容が「ハードになっちゃったかな」という場合は2日以上空けよう。スピードが落ちて脚がフラフラ状態、
疲労が蓄積した状態ではフォームも崩れてきます。そんな状態で頻度やセット数を増やしてトレーニングを続けても、逆効果であるばかりか怪我・傷害のもと
であるのは先に述べたとおりです。
- 1日目---各ドリルを1回ずつでいいのでタイムを測る。
- 始めの10日から2週間は10セット程度にとどめる。
- 2回目のタイムを測る。
- 2回目のタイムの結果をもとに異なるメニューを増やし合計セット数を増やす。
- 10日から2週間後に3回目のタイムを測る。
- 3回目のタイムが落ちていたら頻度を減らすかセット数を減らす。
上がっていたらセット数を増やすかセット間インターバルを短くする。
6のセット数を増やすかセット間インターバルを短くするかは、強化期間ならセット数を増やし、競技シーズン前なら
インターバルを短くしハイパワー心肺機能や筋持久力強化
もめざします(→ハイパワー・インターバルトレーニング)。
- ★神経系トレーニングは無理に追い込まない!タイムさえ上がればよい!
- ★心肺機能や筋持久力強化ならインターバルを短く!
※ただし心肺機能の向上には、確実な負荷を心肺にかけて疲労困憊状態に追い込む必要がある。しかし繰り返し前述のとおり、神経系トレーニングは技術要素が大きいため疲労困憊状態ではフォームが崩れ怪我・傷害のもとです。本格的に心肺機能強化を重視するなら神経系トレーニングよりもはりスプリント走によるハイパワー・インターバルトレーニングで集中トレーニングするべきです。
結び
特にスピード強化の場合は「負荷が0」でなければ最高速は出せません。ゼロどころかマイナス、例えばスプリントやサッカーのフォワードの選手などは下り坂を走ったりゴムチューブで前から引っ張られて走る、といったトレーニングをすることもあります。筋トレのように追い込まないで「短時間で出し切る」のが神経系ファンクショナルトレーニングの要です。
だが最も「難しい」「わからない」のはこれらの神経系ファンクショナルトレーニングと他のトレーニング、中でも強度の高いプライオメトリクスとウエイトトレーニングはどういう組み合わせですすめればいいのか疑問に思う所ではないでしょうか。
ではつづいてそれらの問題について解決すべく神経系、筋トレ、さらには持久系まで競技試合シーズンに向けた総合的なフィジカルトレーニング計画作成方法に着いて解説だ!