1:神経系とは?!伸張反射と筋収縮速度
神経系トレーニングとは一言で言ってしまえば伸張反射のトレーニングです。「伸張反射」とは、ストレッチのページや「拳トレ!」でも解説していますが、
筋肉や腱が急激に伸ばされると縮もうとする反射作用
が筋肉と腱に存在する神経体に起こります。これが伸張反射です。これによって
- 伸張された筋肉が伸張反射によって収縮
- 筋肉の収縮によって腱が引き延ばされパワーが腱に充填される
- 筋肉の伸張速度が速いほど収縮速度も速くなりより強くパワー = 瞬発力が!
= 筋収縮速度の向上
この
「筋肉の伸張収縮速度の速さ = 筋収縮速度」
をコントロールしてるのが神経なのです。つまりこの神経を刺激することにより
筋肉の伸張収縮速度の速さを向上させる、
それが「神経系トレーニング」です!
でもそれでより強い瞬発力は出るというのはいいけどスピードや敏捷性はどうなるの?
2:神経反応と筋肉・運動神経のメカニズム
はみがきを初めてできた時の事を思い出してください。忘れた?じゃ、なんでもいいです。初めてやる動作というのは誰でもぎこちないものです。それが慣れてくるにつれ速く動作できるようになります。これです!神経が刺激!!されたのです。
しかしいったん慣れてしまうと速さの向上が止まってしまいます。そこでさらに不慣れで複雑な動作をとりいれて神経に刺激!!・・・・・神経系トレーニングとは、ようはこれの繰り返しなのです。
新しい刺激をどんどん神経や脳に加える事によって、体がより複雑な動きをより速くこなせるようになり、
さらに伸張反射が向上 = 筋収縮速度が速くなることで、速いスピードからの切り返し、つまりサッカーやバスケット、アメリカンフットボールなどで重要なターンなどが速くなりつまり敏捷性=アジリティーとスピードが向上していきます。
★神経系トレーニングとは伸張反射と反復刺激の繰り返し!
ここまでがいわゆる「運動神経」の話です。脳と筋肉をつないでいる神経を運動神経と呼び、
神経系トレーニングはこの運動神経を向上する
ことだと理解すればよいでしょう。で、運動神経と言えば「じゃあ反射神経は?」
3:反射神経はない?!神経伝達速度とは
例えばサッカーをしているとします。
- 自分の方にボールが来た→ボールに向って走り出す
この一連の動きについて考えてみましょう。
- まずボールが目にはいる
- 「ボールが来た」という情報が目から神経を通じて脳へ伝わる
- 「ボールに向って走れ」という命令情報が脳から運動神経を通って各筋肉へ伝わる
- 筋肉が収縮を始め走り出す
2の情報が目や耳、口、皮膚などの感覚器官から脳に伝わる神経を、3の脳から筋肉へ命令を伝えるの運動神経に対して感覚神経(知覚神経)と言います。
- 脳へ向かう感覚神経は求心性神経
- 逆に脳から命令を伝える運動神経は遠心性神経
とも言います。そして情報や命令が神経を伝わる速度を神経伝達速度といい、それぞれの速度は
- 感覚神経・・・秒速約100m前後
- 運動神経・・・秒速約47m前後
つまり反射神経という神経は存在しない
のです! そうではなく
神経伝達速度と筋肉の収縮速度(筋収縮速度)が速いと「反射神経がいい!」
と言ってるわけです。つまりこの神経伝達速度と筋収縮速度を向上すればいいわけですが、この
神経伝達速度というのはなかなか鍛えることはできません。
むしろ栄養やストレス(集中力)などの話になってきます。しかし筋収縮速度ならトレーニングできます!
- ちなみに目より耳=視覚刺激より聴覚刺激の方が伝達速度は速い
- 脚・下半身よりも手・上半身の方が伝達速度は速く上半身の動きが優先される。これは脳からの距離が脚より手の方が近いためである
でも神経伝達速度を鍛えることができないとなると、神経系や反応のトレーニングをすることに意味は有るのでしょうか?
4:「反応が鈍い」人はいない!?
反応は誰でもしているのです。しかも神経伝達速度にほとんど違いがなくトレーナビリティー(トレーニング効果)もあまりみこめない・・・しかし
筋収縮速度や伸張反射は神経系トレーニングでいくつになっても向上できる
のです。ウエイトトレーニングで最大筋力・基礎筋力を向上することも筋肉の神経のトレーニングになっています。
またさらには
同じ動作の反復練習を繰り返すだけでも動作スピードは向上
します。
さきほどのはみがきの話と同じように、ボールを投げる動作も、始めてやる時はぎこちなくてもなれるにつれ速く投げられるようになってきます。
重心バランスなど正しい動作姿勢に改善するだけでも違い
ます(→バランスと体幹トレーニング講座)。
では最後に「ファンクショナル」について。
5:ファンクショナルトレーニングとは
「ファンクショナル」とは「機能的な」「実用的な」という意味です。つまりファンクショナルトレーニングとは、
筋肉・神経反応・運動神経を高め、体の運動機能を向上させる総合的なトレーニング
なのです。筋トレだけじゃなく神経系ファンクショナルトレーニングで最強のワイルドボディーを作るのだ!
【PR】
★神経系トレーニングおすすめ本
スポーツ・パフォーマンスが劇的に向上する
日本SAQ協会編集
運動機能を高めるダイナミックフレキシビリティ(ウオーミングアップ)、S=スピード、A=アジリティー(敏捷性)、Q=クイックネス、体幹のトレーニングまでSAQトレーニング実践方法を写真と付属DVDでわかりやすく解説されています。すべての競技者必見!!
※「SAQトレーニング」は日本SAQ協会(NISAQ)の登録商標です。NISAQおよび認定インストラクターだけが使用および指導ができます。
Amazon | 紀伊國屋書店 | セブンネットショッピング | Yahoo!ショッピング | 楽天市場
結び
神経系と運動能力の関係について少しは見えてきたかな?いや、理屈はもういいから早くトレーニング方法を教えろ?・・・・・・ダメ、理屈は大事です。神経系に限らずトレーニングは頭を使う事が非常に大事です。
特に神経系では目的別、あるいは競技別に独自にメニューをアレンジしていく個々人の能力が要求されてきます。
とはいえ、考えてばかりでも前に進めません。わかんなければわかんないなりになんとかなります。
ではまずトレーニングはもちろん走る、跳ぶなど、ファンクショナルな動きの基本中の基本である足の使い方と着地方法について学ぼう。かかと接地やつま先接地は是か否か?!