1:やってる?アキレス腱伸ばし・・・
「アキレス腱を伸ばしてーっ、イチっ、ニっ、サン、シィ・・・」みたいな準備運動を必ずと言っていいほどやったことはある、もしくは今でもやっている、人もいるのではないでしょうか。ダイナミックストレッチによるウオーミングアップを実践していればもはや行っていないと思いますが、でも「アキレス腱伸ばさないと切れるぞ」などと言われると気になる・・・・アキレス腱は伸ばさないと本当に切れるのか?そこんところを考えてみよう!
2:アキレス腱は伸びない?!
結論から言っちゃいましょう。アキレス腱は伸ばしてはいけません!・・・・え?はあっ?どういうことなのでしょうか?
しかしすでに全ページの下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)実践編を読んでいるみなさんはおわかりでしょう。この動きは下腿三頭筋のストレッチであって、アキレス腱のストレッチではありません。
というよりアキレス腱など「腱」の部分は筋肉のように伸びるものではありません。腱は伸びない?!その意味は腱と筋肉の性質の役割の違いに隠されています。
3:アキレス腱など腱と筋肉の違いとは?
もちろんまったく伸びないというものではありません。アキレス腱に限らず、
腱というのは言わば堅いゴムのような素材
だと考えればよいです。血管も少なく筋肉のようにトレーニングで意図的に太くしたりすることもできません。それに対して筋肉は、例えばラジカセのアンテナや釣り竿のような構造になっており、
柔軟性があって伸び縮みするのはあくまで筋肉
の方なのです。また腱は筋肉のように意図して収縮させたり伸長させることもできません。腱はあくまで筋肉が力強く収縮した時に神経反射によって硬く収縮し関節を引っ張ります。
もしそうでなく腱も筋肉のように伸びるものであったとしたら、右のように上腕二頭筋を収縮させて重りを持ち上げても腱が伸びてダランと下がってしまうでしょう。堅い腱がオート反応でしっかり引っ張ってくれるからこそ持ち上がるのです。
4:伸ばしているのはアキレス腱ではなく・・・
つまり「アキレス腱を伸ばして・・・」のあの運動は、アキレス腱ではなく
ふくらはぎの筋肉=下腿三頭筋のストレッチ
を行っているのです。したがって、本当にアキレス腱を伸ばそうとしたらかえって腱を痛めてしまう事になり、言い換えると筋肉の柔軟性が不十分だと腱に負担がかかるということです。つまりアキレス腱が切れるとすれば、それは
アキレス腱を伸ばさなかったからではなくふくらはぎのウオーミングアップが不十分
だった可能性が大きいのです。
では腱は筋のようにきたえることはできるのでしょうか?!
5:Q腱をきたえるトレーニング方法を教えてください
残念ながら腱だけをきたえるトレーニング方法というのは現時点ではありません。一つだけ上げるとすれば速度です。伸張性収縮を効かせずに(伸張性収縮とは)ウエイトを速く下ろすほど次に上げる瞬間に強く反動がかかります。この反動を効かせる時に腱が力を発揮します。速く動かした方が高重量をあつかえるのはそのためです。つまり腱を意識するにはこの反動を効かせればよいのですが、あまり強く反動をつけすぎるとかえって腱を痛めてしまうこともあります。ゆっくり下ろしたとしてもまったく腱を使わないということはないので、特別な目的がなければ腱をきたえるということを意識する必要はありません。
結び
そうです。アキレス腱は「伸びない」のです。アキレス腱ではなくふくらはぎ= 下腿三頭筋のウオーミングアップをしっかり行いましょう。
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