1:ハムストリングスと股関節とは
実際にストレッチ(スタティックストレッチ)をする前に股関節とハムストリングスという筋肉について理解を深めよう。太ももの裏側には
- 半膜様筋
- 半腱様筋
- 大腿二頭筋
の三つの筋肉があり、大腿二頭筋はさらに長頭と短頭に分かれています。これら四つの筋肉を総称してハムストリングスもしくはハムストリングと呼びます。
そして大腿二頭筋短頭を除くの三つは、
股関節の伸展と膝関節の屈曲に働く二関節筋(複関節筋)
です(→上左股関節)。大腿二頭筋短頭だけは膝関節の屈曲のみに働きます。さらに半膜様筋と半腱様筋は股関節と膝関節の内旋、大腿二頭筋は股関節と膝関節の外旋に働きます(→上右股関節)。
- ★ハムストリングスとは半膜様筋、半腱様筋、大腿二頭筋の三つの筋肉の総称!
ではこれらの股関節の筋肉をストレッチすることにどのような意味があるのでしょうか?
2:ハムストリングスの柔軟性
このハムストリングスの柔軟性が運動する上でいかに大事かというのは正しいスクワットをすればわかります。ハムストリングスがうまくストレッチできないと、上のように
- 骨盤の前傾がとれず膝を突き出すようなポジション
- 股関節が使えていない背中の丸まった"屈伸運動"
になってしまいます。これはスクワットに限らず「パワーボジション(バランスポジション→パワーポジションとは)」ともいわれる動きの基本姿勢にも共通する問題なのです。
しかしこのハムストリングスをストレッチするのは多くの人がヒーヒーうなっているのではないかと思いますが、スクワットはもちろんパワーポジションからのダッシュ、停止などでもこのハムストリングスに強い負荷がかかるため、この
ハムストリングスの柔軟性が不足していると肉離れなど怪我もしやすい
のです。
▼こちらも!
ハムストリングスの柔軟性に自信のない人は、右のようにまずは膝を屈曲させた状態で股関節側からハムストリングスに効かせてみましょう。深く下ろすほど前脚の股関節が深く屈曲されハムストリングスがストレッチされます。
スクワット(→スクワット実践講座)でもなかなかハムストリングスを意識するのが難しい初心者の場合は特にこの方法でこの筋肉を意識するようにしてみよう(→ウオーミングアップ)。
さらに右のように腰を落として股関節をぐぐっと落としてみよう。両肘を床に着くまでできるだけ深く下ろして股関節にグイーンと効かします。前の膝を垂直に立てて腰が膝よりも低くなるように!内転筋群のストレッチにもなります。
では膝も伸ばしてヒーヒー言ってみよう!
3:実践!ハムストリングスのストレッチ
上左のように、片脚ずつ行います。
背筋を立てて股関節を支点に上体を倒してハムストリングスをしっかりストレッチさせます。
上右のようなよくみかける両足揃えるやり方では、ハムストリングスの柔軟性が不足している場合は股関節を支点にしにくい欠点があります。
頭も下げずあごを引かないように
します。足先か前方を見るようにするとよいでしょう。
★足首は伸ばす。つま先を持たないように!
さらに伸ばしている脚に外旋もしくは内旋(→股関節)をかけてハムストリングスの三つ筋肉をさらにピンポイントにストレッチをかけてみよう。
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ではいよいよつま先を持った「やってはいけない?!」ハムストリングスストレッチの真相を解明しよう!
4:こんなストレッチはダメ!
上のようなストレッチ、やってるでしょ?このように足先を無理に持つと、
足首と膝の二関節筋である腓腹筋(ふくらはぎ表面の筋肉→腓腹筋のストレッチ)がストレッチ
され膝がより屈曲しようと働きます。腓腹筋はゆるめてハムストリングスだけを意識するようにしよう。
手は足先や足首ではなくハムストリングスに当ててストレッチされている事を意識
しながらやってみよう。
※さらに右のように、反対の足を膝上に乗せわざわざ「キツい」状態にするやり方。股関節を屈曲=骨盤を前傾させてハムストリングスをストレッチさせるのが目的なのに、この体勢では骨盤前傾が保てません(下の絵参照)。足先を持ったらさらにサイアクです。
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結び
ストレッチとか、ジューナンとか、準備体操とか、なんらかの形でこのような運動をやることはあると思います。しかしストレッチも筋トレと同様に目的の筋肉に関して正しい知識、そして技術を理解としていなければ、準備運動のはずがかえって怪我を誘発する原因となってしまうこともあります。ハムストリングスのスタティックストレッチはそのことを理解するには最もよいメニューだと思います。しっかりマスターしよう!