1:大腰筋・腸腰筋の働き
腸腰筋とは上左の大腰筋・小腰筋・腸骨筋の3つの筋肉を合わせて腸腰筋と呼びます。
- 大腿(太もも)を持ち上げる動作
- 骨盤の前傾
に働きます。特に太ももの持ち上げは、歩く動作に必要なので、
大腰筋や腸腰筋が弱ると足が上がらずつまずきやすくなる
のです。また大腿直筋(右上右)も太ももの持ち上げ=股関節屈曲に働きます(→股関節の働き)。股関節をこのように動かすのは陸上やサッカー他日常生活でも避けられない
走る動作
にもかかわる大変重要な筋肉なのです。
そしてこの働きに加えさらに重要な働きがこの大腰筋・腸腰筋にはあります。それは・・・・
2:姿勢を良くする?大腰筋・腸腰筋と骨盤の関係と体幹
体幹を固定して腸腰筋が収縮すると脚が持ち上がりますが、逆に脚が固定している場合は骨盤の方が動いて脚の方に引きつけられる、つまり骨盤が前傾します。これは何を意味するかと言うと
大腰筋・腸腰筋が上手く働かないと骨盤が後傾して姿勢が悪くなる
のです!大腰筋・腸腰筋は骨盤を立てて姿勢を正しく保持するためにも日常的に働いています(だいたい大腿骨の上に腰が乗っかるイメージ)。
さらに大腰筋の筋力が弱いと脚を持ち上げようとしても思うように持ち上がらず、右のように、
骨盤が後傾し体幹全体も後ろにのけぞってしまう
のです。
※脚がスムーズに持ち上がらず体幹が不安定になるのは必ずしも大腰筋の問題とは限らない
→体幹トレーニングとは
大腰筋・腸腰筋とスクワット
正しいフォームのスクワットは体幹の安定を維持するために大腰筋・腸腰筋が骨盤に作用して前傾させる。スクワットも大腰筋・腸腰筋と体幹のトレーニングになる。
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では大腰筋の柔軟性についてさらに深く見てみよう!
3:大腰筋・腸腰筋のストレッチと股関節筋の関係
大腰筋・腸腰筋の柔軟性がないと、逆に骨盤の前傾が強くなり腰にストレスがかかります。上のようなストレッチを行うと大腰筋・腸腰筋(イラストでは左脚)と太もも裏の筋肉ハムストリングス(イラストでは右脚)を同時にストレッチできます。先述した「脚が持ち上がらない」のは大腰筋だけではなくハムストリングスの柔軟性が足りない場合もあるのです。
- 前方向から骨盤をささえるのが大腰筋・腸腰筋
- 後方向から骨盤をささえるのがハムストリングス・大殿筋
- 横方向から骨盤をささえるのが中殿筋・小殿筋
このように股関節筋は骨盤をめぐって関連しているのです。
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では大腰筋・腸腰筋の筋トレを実践してみよう!
4:大腰筋・腸腰筋の筋トレメニュー
ライイングニーレイズ
- 上左のようにベンチなどに横になり膝を曲げて上げ下げする
- 腹筋が働かないように骨盤を動かさない。大腰筋を使って股関節の屈曲伸展だけを意識する。上げすぎて骨盤まで持ち上がりヒップレイズのようになってはならない
- 太ももに力を入れないように注意。膝から下は力が抜けてぶらぶらさせるような状態が良い
- 骨盤を前傾させない。骨盤が前傾すると腹筋が働きやすくなる
- 手をお尻の下にしいて骨盤の前傾させないようにするとよい
- 足にダンベルをはさんで負荷を高めても良い
股関節の稼動域と片脚ライイングニーレイズ
右のアニメのように、足がつかないくらいの高さのベンチを使用すると股関節の稼働域を増し、大腰筋をよりストレッチすることができます。ただしあまり無理にストレッチしすぎないように。片脚ずつ行えば腹筋にはほとんど負荷はかかりません。
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スタンディングニーレイズ
スポーツクラブでよく見かける右右のような専用器具を使ったニーレイズ。基本はライイングニーレイズとまったく同じで特にヒップレイズのようにならないよう
腸腰筋や大腰筋を使って股関節を屈曲させる
ようにする。背中を後ろのパットにピタッとくっつけるのがポイント。足に重りをはさむ、ぶら下げるなどで負荷を上げてもよい。
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では最後に大腰筋・腸腰筋の筋トレにある問題点について。
5:腰によくない?!脚上げ腹筋(レッグレイズ)の秘密とは?
この大腰筋・腸腰筋を鍛える筋トレとして上のようなレッグレイズ(→脚上げ腹筋)という種目があります。腸腰筋を動かすには体幹が安定しないとできないので(→脚上げ腹筋・レッグレイズと腹筋・腰)、この種目では
腹直筋の筋力が弱いと体幹が安定せず腹筋ばかりに力が入ってしまう
のです。そして先ほどの筋肉イラストをもう一度見てみましょう。
大腰筋というのは太ももと腰椎=腰をつないでいるため、このレッグレイズでは、特に腹筋群が弱いと体幹が不安定になり、腰にストレスがかかる可能性もあるのです。
ただし下のアニメように、おしりの下に手を置いて行なうと腰への負担が減らせます。片脚でやっていますが腹直筋の筋力に自信があれば両足でもかまいません。
ポイントは、
- お腹をベンチにしっかり押し付けるよう維持すると骨盤の前傾を防げる
しかし先に紹介した膝を曲げる「ニーレイズ」なら、体幹を安定しやすく腸腰筋や大腰筋に効かせやすくなります。ニーレイズで慣れてきて、腹直筋も強く体幹が安定するようになったらレッグレイズもやってみよう。
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結び
大腰筋、腸腰筋の筋トレといえば、腰にキツい脚上げ腹筋を無理にやらなくてもニーレイズでも十分鍛えることができます。
でもニーレイズではどうしても負荷が軽過ぎる、けどレッグレイズもちょっと・・・・と言う場合、あります。腰に悪くない脚上げ腹筋が!