1:脚を上げるのに使う筋肉は腹筋ではない?
脚上げ腹筋で下腹部はなぜ鍛えられないか。それは簡単です。
脚をあげる動作に使われる筋肉は、腹筋ではない
から。ただそれだけです。脚を持ち上げる時に働く筋肉は、大腰筋(腸腰筋)のページで解説したように、
骨盤・腰部と大腿をつなぐ筋肉である腸骨筋と腰筋(大腰筋・小腰筋)という筋肉
です(まとめて腸腰筋と言う)。上右の大腿直筋にも同様の働きがあります。
いわゆる脚上げ腹筋、レッグレイズをすると特にこの大腰筋に強く負荷がかかります。しかしそれが問題なのです!どういう問題なのか?
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2:脚上げ腹筋をすると腰が・・・!?
この大腰筋は大腿と腰部を直接つないでいるため、「脚上げ腹筋」をすると腰にかなり負担がかかってしまうのです。しかもこの「脚上げ腹筋」を数回くらいしかできないとなると、
初心者や普通の人にはかなりの高負荷トレーニングになってしまい、
へたをすると腰をいためる原因となることがあります。膝をのばして右シットアップのような腹筋メニューをやってはダメと言われる理由もこれと同じです。
では「ぽっこりお腹」「下腹がへこむ」についてはどうでしょうか?
3:ぽっこり下腹とは
そもそもぽっこりお腹とは?いくつか原因が考えられますが、多くは
- 内臓脂肪や内臓の問題
- 下腹部の皮下脂肪
- 骨盤の後傾による姿勢の問題
などです。この脚上げ腹筋はもちろんどの腹筋・筋トレメニューであっても、筋トレだけでで体脂肪を減らすことは難しく、有酸素運動や食事制限が必要です(→ダイエットと筋トレ)。
では三番目の「骨盤の後傾による姿勢の問題」はどうでしょうか?
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4:脚上げ腹筋でお腹が引っ込む?!
大腰筋(腸腰筋)のページで解説したように、腸腰筋には骨盤を前傾させる働きがあります。
なのでこのレッグレイズで腸腰筋・大腰筋を鍛える事は、姿勢を改善して「お腹を引っ込める」効果が期待できます。
しかし前項で解説したように脚上げ腹筋は負荷が大きすぎるので、腸腰筋の強化ならレッグレイズより右のようなニーレイズの方がよいのです。
結局、脚上げ腹筋 = レッグレイズで腹筋、下腹部、お腹っぽっこりをきたえるのは無理、てことです。
いや、脚上げやってる時スゲー腹筋に効いてるよ、・・・確かにそういうことがあります。しかし実はそれが"錯覚"だとしたら?!さてどういうことなんでしょうか?!
5:なぜ腰によくないのか?
もちろん脚上げ腹筋でまったく腹筋を使わないわけではありません。
脚、腕を動かす時はまず体幹を安定させる
必要があります(→体幹の安定とは)。
脚のような重い部位を動かす場合は特にしっかりと体幹が安定しなければなりません。そのために腹筋、中でも
腹横筋が収縮し体幹を固定
します(→腹横筋)。そして
大腰筋に強く負荷がかかり収縮するので骨盤が強く前傾しようとし腰が大きく反ってしまう
この時体幹・腰が反りすぎないように腹直筋もアイソメトリックス収縮して体幹の固定に働くので「腹筋に効いてる」となるのです。スクワットやベンチプレスと同じですね。
- ★脚上げ腹筋は腹直筋が強い人なら体幹トレーニングとしての効果はある!
しかし前にも述べたとおり腹直筋が弱いとどうなるでしょうか。
6:腹筋と腰・体幹の関係
腹直筋が弱いと、
体幹の反りを抑制することができず
腰に強い負担をかけてしまうことになります。
ですからまず他の腹筋種目で腹直筋をしっかりトレーニングをするのが先決です。この脚上げ腹筋をわざわざ選択する必要はないのです。下腹部を鍛えるならヒップレイズやシットアップで十分鍛えられます。
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結び
どうだったかな?これが「脚上げ」の正体です。腰痛を直すために腹筋をきたえるとよいと言いながら脚上げ腹筋を指導したりしてるテレビ番組や雑誌をみたらご注意ください。
ところで腹筋といえば、気合いを入れてカッコいい「割れた腹筋」を手に入れよう・・・・・って、ん?よく「割れた腹筋」といいますが「割れた腹筋」とはいったいどういうものなのか?次はその「割れた腹筋」について学びましょう。