1:シーテッドロー - 広背筋
特徴
イスに座るタイプのシーテッドローマシンとロープーリーマシンとの違いは、前者は広背筋の筋トレに特化したマシンであるということだ。そのため胸の部分にストッパーパッドがあり、座ってパッドに胸を当ててただ引くだけで初心者でもそれなりに広背筋に効かすことができるので、このマシンは高齢者向け施設でも見かける。
それに対してロープーリーマシンは、そもそもこのようなシーテッドロー的な使い方を想定していいるのではなく、後に解説する背中全体を鍛えるプーリーロー = 舟漕ぎ動作を想定したマシンだ。なのでストッパーはもちろんない。したがって、ロープーリーマシンで広背筋に効かすには、自分で体幹を固定し安定させなければならないがそれほど難しい事ではない。ではその基本フォームを解説する。
基本フォーム
フォームのポイントは一言で言うと
ベントオーバーローイングをロープーリーマシンに座って行う
ものだと考えれば良い。
- 骨盤をしっかり前傾させて体幹が丸まらないようにする。
- ベントオーバーローと同様肩甲骨を内転(→肩甲骨の働き)させて固定 。
- あごはひかないように軽く上がるくらい。ひくとやはり背中が丸まりやすくなり僧帽筋に力がはいってしまう。
- 腕で引くのではなく広背筋を使って肘で引くようなイメージ
- 体幹が前後に動かないように。腕の引き伸ばしだけ。
最初のハンドルを引っ張って体幹を安定させるポジションにつくまでは、もちろん背中は丸まってもよい。腕で引っ張るのではなく脚でスクワットをするようにウエイトを引っぱり体幹をセットして胸をはろう。
呼吸方法
シーテッドローでの呼吸方法は、ベントオーバーローイングなどと同様背中のトレーニングの基本通り
引きながら吸ってフィニッシュでしっかり胸をはり、吐きながら下ろす
である。フィニッシュでは胸をはったまま2秒ほど静止して広背筋に効かせよう。
次は僧帽筋をきたえるロープーリーマシンの使い方を解説。
2:僧帽筋 by ロープーリーマシン
ロープーリーマシンで僧帽筋をきたえる方法は、まずポジショニングは前項の広背筋のシーテッドローと同じように、骨盤を前傾させ体幹を真っ直ぐ安定させる。違うのはここからである。
僧帽筋は肩甲骨の外転・内転に働く筋肉であるのでシーテッドローのように内転の状態=胸をはった状態を維持したままては、僧帽筋のアイソメトリックス状態(→アイソメトリックスとは)が続くだけで筋肉の伸張収縮がおこなわれない。つまり僧帽筋に効かすポイントは
腕をのばしたまま、僧帽筋を使って肩甲骨だけを動かして内転・外転させる
のである。僧帽筋の主に中部・下部、および僧帽筋の下にある菱形筋に刺激をあたえることができる。
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では次はこのロープーリーマシン本来の使用目的である、背中全体をきたえるプーリーローという種目をやってみよう。
3:プーリーロー - 背筋群 by ロープーリーマシン
プーリーローとは
ロープーリーマシンでプーリーローとはややこしいが、ロープーリーはLow-pulley、プーリーローはPulley-row、である。Rowは"漕ぐ"、つまりプーリーローはボート漕ぎの動作のトレーニングである。広背筋、僧帽筋はもちろん脊柱起立筋や多裂筋など背中全体・背筋群を鍛える効果がある。高重量もあつかえるので背中全体の厚みをつけるにも良い。
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基本フォーム
広背筋のシーテッドローの所で、ポジションをセットするための1回目の動作を思い出していただきたい。
- 最初にウエイトを引っ張る時は背中が丸まっている
- スクワットのように脚でプッシュして胸を張り体幹をセット
- そこから肘を後方へ引く
この1→2→3を一つの動作として行うのがプーリーローである。1の背中が丸まった状態から体幹を起こしていくまでを脊柱起立筋、2で肩甲骨を内転させ胸を張る動作は僧帽筋、そして胸を張ったところから肘を後方に引く動作は広背筋のシーテッドローの動作である。
1のスタート時は肩甲骨を大きく外転させ僧帽筋をストレッチさせてスタート
するのが背中全体を大きく使うポイントである。
次は3種目共通の注意点について解説。
4:ロープーリーマシントレーニングの注意点
紹介した3種のロープーリー全てに言える事だが上のように後方に倒れすぎては背中の筋トレにならない。マシンによってはデッドリフトができているような感じもするが、広背筋や僧帽筋のトレーニングにはならない。基本はやはり体幹が直角よりもやや後傾する程度を維持できる適切な負荷重量に調節しよう。
最後にロープーリーマシンのその他の使い方について。
5:背筋以外のロープーリーマシンの使い方
グリップハンドルを、フラットバーなどに変更できればスタンディングアームカールやアップライトローイング、ショルダーシュラッグのような背筋以外のメニューもこのロープーリーマシンで行える。マシンによってはルーマニアンデッドリフトもできる。
ただし引き上げる時にマシンも一緒に持ち上がらない程度のウエイトプレートが十分詰まれていることが条件だが、プーリーローのようなデッドリフトに近い高重量種目を想定しているのでたいていは問題ない。ベンチに立つ事が可能ならばまったく問題なくこれらのメニューも行える。下のような一般個人用のマシンはデッドリフトはさすがに難しいかもしれない。
結び
中規模以上のジム、スポーツクラブじゃないとなかなか見かけないマシンだが、機会があれば使ってみよう。
では次はハイプーリーマシンを使った背筋のトレーニングだ。