1:運動の方向を見るための3つの軸とは
運動している時、身体は色々な方向を向き、両手脚をあらゆる方向に向けて動かします。
その動きの方向を専門的に解析する時には3方向の軸を基準に決めることがあります。その3つとは
- 矢上面
- 前額面
- 水平面
です。例えば筋トレ種目で矢上面の最も分かりやすい運動は右のようなクランチでしょう。
ではそれぞれもっと詳しく見ていきましょう。
2:矢上面
矢上面の動きの筋トレ種目はクランチの他に、スクワット、デッドリフト、筋トレ以外では走・歩行動作なども矢上面になります。ようするに縦の前後運動がこれにあたります。
前後運動が矢上面ならスクワットやデッドリフトがなぜ矢上面なのか?それは股関節や膝関節に注目してください。スクワットもデッドリフトも股関節や膝関節が
縦に前後運動
をしています。あるいは屈曲・伸展していると矢上面と言えます(→股関節の動き)。つまり運動の軸を考えるときは体全体の動きだけではなく
各関節の動き
を見て判断する必要があります。クランチのような腹筋メニューなら体幹が縦に前後運動、つまり体幹の屈曲・伸展動作をしていますね。
では次は前額面。
3:前額面
矢上面が縦の前後運動であるのに対し、前額面は
縦の左右運動
です。あるいは外転・内転の動き(→肩関節の動き)が前額面ということになります。
代表的な具体例は、ラットプルダウンやワイドチンニング、バーベルショルダープレスなどです。サイドレッグレイズも股関節が外転・内転しているので前額面になります。
ワイドではなくナローチンニングやナロープレスならどうなの?関節の動きに注目。肩関節が屈曲・伸展、つまり前後に縦の運動をしているので矢上面となります。このように同じ筋肉のトレーニングでも関節の動きの向きが異なる種目がある事に気づきます。
同じ三角筋でもサイドレイズなら前額面、フロントレイズなら矢上面となります。
では次は水平面です。
4:水平面
腕立て伏せやベンチプレス等、肩関節の水平伸展・屈曲の動きが水平面の分かりやすい例です。しかしこれもわかりにくいですが、手幅の狭いナロー腕立て伏せやナローベンチプレスなら肩関節の前後の伸展・屈曲運動になるので矢上面になります。
しかし言い方を変えると、これらの種目は手幅を広げるほど水平面に、狭くするほど矢上面に近くなっていきます。このように
関節の角度によって2方向の軸運動を含む
三次元な種目もあるのです。
では右のようなベントオーバーローはどちらでしょうか?通常のベントローは手幅を狭くグリップして肩関節が前後の縦運動、肩関節の屈曲・伸展動作なのでこれもどちらかというと矢上面ですね。
では矢上面、前額面、水平面、これらの3軸で運動を見分ける知識がなぜ必要なのでしょうか?少しヒントが腕立て伏せの所で出て来てますよ?!
5:3軸を考える意味と目的とは
運動は、水平面のところで腕立て伏せやベンチプレスのように
関節の角度によって2方向の軸運動を含む
ことの方がむしろ多いと思います。アームカールやレッグエクステンションのような1方向の二次元の動きしかしない膝や肘関節を除くと、多くの運動は肩関節や股関節のように三次元で稼動域の広い関節を中心として動きます。これらの関節は、1方向のトレーニングばかり続けていると稼動域が制限されてしまい動作や機能が低下してしまいます。
つまり身体動作の機能を向上・改善するには矢上面・前額面・水平面どれかに偏ることなく
3軸方向すべての動きをトレーニングする
ことがトレーニングの効果を上げるポイントなのです。
例えばベンチプレス・スクワット・デッドリフトで筋トレの"ビッグスリー"と言われることがありますが、この3つでは1つの軸運動が足りませんよね?どれでしょう?・・・・そう、前額面が足りません。なので競技選手や機能改善のためのトレーニングとしては、ビッグスリーに加えてショルダープレスやラットプルダウンを加える等の工夫があるといいと思います。
ウォーミングアップにも3軸方向の動きが全て含むようなメニューを取り入れましょう。
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