1:"反射神経"と神経伝達速度
神経系トレーニング基本理論ページでも解説していますが、神経伝達速度とは
- 目や耳などから情報が脳に伝わり
- →脳から「動け」という命令情報が運動神経を通って筋肉に伝わる速度
です。「子供が転んだ時、顔が地面に激突しないようにとっさに手を出す」ためには
手脚の協調性 = コーディネーションに加えこの神経伝達速度も重要
です。脳からの「手を出せ!」の命令が遅れると、反応して手が出る前に地面に激突です。ようするにいわゆる反射神経です。
この"反射神経"をきたえるトレーニングをコーディネーション、そしてアジリティー・クイックネス・さらにはプライオメトリクスなどとからめる形でやってみよう!神経系トレーニングのまさに総決算だ!
※神経系トレーニング基本理論ページでも解説しているように「反射神経」という神経はありません。運動神経を伝わる神経伝達速度が速いと「反射神経がいい!」となるのです。
2:脚は腕より遅い?!神経系コントロールのしくみ
右はクイックネス基本のページで紹介した落ちるボールに反応して飛び出すトレーニングです。典型的な"反射神経"的なトレーニングですね。ただしこれだけだと主に下半身の神経伝達速度のトレーニングにしかなっていません。
神経系トレーニング基本理論ページで解説しますが、脳からの命令が筋肉に到達するのは脳に近い上半身、手です。
脚よりも脳に近い手・腕のコントロールが優先される
のです。これは何を意味するかというと
脚を腕よりも速く動かす事はできない
ということです! え?ほんと?では実際に実験してみよう。
クイックランのページでやったクイックランを、手を振らずにその場足踏みでやってみよう。全速力で脚を動かしてください。ももは高く上げる必要はありません。とにかく高速でバタバタ足踏みステップ!
そしてスピードが高速に上がった所で腕を高速回転で走る時のように大きく振ってみよう。するとどうです?腕を振り始めたとたん脚の回転スピードが落ちましたね。これは
脚の動きより腕の速さが優先された
結果なのです。だから走る時手を速く振れというんです。逆に言うと、腕を速く動かせば脚も速く動くという事です。つまり両手両脚を同時に使うようなコーディネーション性の高い動きをする基本は
腕・上半身から動け!
ということです。ここまでのクイックネスの基本でもアジリティーでも「上半身から重心を落としていく」と解説してきました。
しかしなかなかうまく重心移動ができず上半身が後方へ傾いてしまう、と言う場合は体幹の強さが足りないだけではなくコーディネーションと神経伝達速度が弱点の場合もあります。
ということで、次は脚を動かしながら上肢の神経伝達速度 = 反射神経をアップするトレーニング実践してみよう!
3:神経伝達速度向上トレーニング実践メニュー
ハーキーステップ・プラス
パワーポジション(→パワーポジションとは)に立って、右のようなハーキーステップをやってみよう。左右交互に全速力で足を動かします。
そしてステップしながら合図に反応して手を出してすぐもどします。合図者が左手を横にだしたら左手を横に、左手を上にだしたら左手を上に、というふうに反応します。
素速く出して素速くもどす
脚のスピードもステップのリズムも落としてはいけません。
そして「ダッシュ!」の合図で前方にダッシュしよう。バックやターンの合図も入れ手もよいです。手と脚がバラバラになるぞ!
サイドステップ・プラス
今度はハーキーステップではなくサイドステップで同様に合図に反応! やはり手を出したら素早くひっこめます。ステップのスピードも落とさない。神経伝達速度を超高速で走らせんだ!!
応用レベルアップ
前ダッシュ&バックランでもやってみるとよい。さらにはジグザグランなどアジリティーメニューに同様の合図反応をやってみよう!
さらに
左手はグー、右手はパー、というような左右異なる動きを同時に出し、どちらかに反応させる。
例えばグーならその場でジャンプ、パーならサイドにステップ、など。
というような合図反応もチャレンジしよう!!もちろん脚を動かしながら。怪我してアスリハ中(→アスレチックリハビリテーションとは)の選手や高齢者の方などは座ってやってもいいと思います。
→横方向のクイックネストレーニング
結び
最後の「左手はグー、右手はパー」は瞬間的な判断能力も要求される高度なコーディネーショントレーニングです。もう神経系ピリピリ状態ですね。
では次はその「瞬間的な判断能力」に重点を置いたなコーディネーショントレーニングをやってみよう!もっともっと神経系にストレスピリピリさせるぞ!!