1:背筋とは
背筋とは上体反らし?
背筋といえば、右のようないわゆる背筋運動、いわゆる"上体反らし"を思い描いてしまう人ばかりであろう。だが腹筋のページでも解説した通りこのようないわゆる背筋運動は、腰椎にストレスがかかるのでNGである。
そもそも背筋というのは、「背筋群」と言うくらい多くの筋肉が存在し、上のような上体反らしで背中をきたえられるほど単純ではない。
背筋群の働きと鍛え方
右はその背筋群のうちの主な筋肉であるが、このうち「広背筋」は、懸垂のページで解説している。「脊柱起立筋」「多裂筋」「腰方形筋」も
体幹のスタビリティーマッスル
として腹筋のページでも解説した腹横筋とともにスクワットである程度鍛えられる。アスリートでなければ、背筋群はこの体幹の安定性をつくるスタビリティーとしての働きを強調してトレーニングするだけで十分である。
だがスクワットはあくまで股関節から下半身がメインである。背中をメインにできないか。もちろんできる。それは「デッドリフト」という恐ろしい方法である。
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2:背筋群を鍛えるデッドリフト
デッドリフトとは
デッドリフトとはこういうヤツである。
ウエイトトレーニングでは最も高重量を扱う文字通り恐ろしい筋トレである。と同時に背中最強の種目として大昔から「ハマる」者も多い愛すべきトレーニングでもある。
しかし筋トレになれていない者、ましてこのページを見ているヘタレ中年からすると、どうみてもこれは腰に悪そうである。
確かに見た目は、いや実際やってみてもいわゆる腰周辺に相当に負荷がかかる。だが本当に腰に悪いだのろうか。もし腰に悪いのなら先ほどの腹筋運動や上体反らし同様とっくに消えているはずだ。しかしこのデッドリフトは、私見であるがおそらくあと100年くらいは愛好されつづけるであろう。スクワット同様
正しいフォームさえマスターすれば決して腰を痛める事はない
のである。もちろん重いバーベルなど持つ必要はない。スクワットさえマスターしていれば、実はそれほど難しくはないのがこのデッドリフトである。
では実際にやってみよう。
デッドリフトの実践方法
右のトレーニングはスクワットだろうか、それともデッドリフトだろうか。答えはデッドリフトである。いや、スクワットにもなりうる。膝の曲げ角度が大きくなり体幹がより垂直に近ければ下半身への負荷が大きくなりスクワットになる。だが重要なのはそこではない。
スクワットとデッドリフトの根本的な違いは負荷の位置が
肩から上か、腰より下か、
ということである。いくらヘタレ中年のあなたでももうくわしく説明するまでもないだろう。肩より上に重りをかつげばスクワット、下にぶら下げて引き上げるのがデッドリフトである。角度ではない。なぜならデッドリフトには角度を変化させるバリエーションもあるからだ(→デッドリフトバリエーション)。
なので通常は「ダンベルスクワット」として行われる上の方法でも十分デッドリフトとして背中のトレーニングになる。両腕にぶら下げる事でスクワットではほとんど負荷のかからない僧帽筋にも負荷をかけることができる。しかも腰がヤバいヘタレ中年諸子にもこのような「スクワットに近いデッドリフト」なら本格デッドリフトよりも安心して取り組める。
ポイントはスクワット同様
体幹をまっすぐに安定させ股関節を使う
事。股関節を使う事で、やはりスクワットと同様太もも裏のハムストリングスやおしりの大殿筋も鍛えられる。
ようはデッドリフトと言うのは
肩から脚まで背中側全体のトレーニング
と考えてよい。背中だけ、もしくは脚で動こうとするから腰によくないことが起こる。
そしてなれたら少しずつ体幹を傾ける角度を大きくして、よりデッドリフトらしく挑戦してみよう。
しかしどうしても背中を傾けるが恐ろしい、というヘタレ中年のあなたりためにもうちょっとやりやすい方法を紹介する。
3:腰にやさしい?ワイドデッドリフト
これは足幅を広げたデッドリフトである。四股スクワット、スモウデッドリフトなどと言われる事もある。四股立ちの体勢からリフトするのだが、股関節の柔軟性がない人でも体幹を真っ直ぐに安定させやすい。ただし上のように本格レベルほど深く下ろすと腰にやはり負担にはなる。膝の角度が90度以上くらいの高さまでで十分である。
4:デッドリフトは何回する?
腹筋のページや他のページでも言っているように、本格的に筋肥大、筋力アップをめざすためのプログラムヘタレ中年にはとりあえず無理である。そうではなくまず運動やトレーニングで重要なのは
- 使うべき筋肉を使い
- 動かすべき関節が動いて
いるかどうかである。それはヘタレ中高年でなくても若者でも子供でも同じである。とはいうもののまったく回数や負荷を示さないのもどうかと思うので
ゆっくり軽く動いて20回
余裕でできる重さの重りを持って
ゆっくり軽く動いて15回 × 2セット、インターバル1分
ということにしておく。それで十分である。もちろん正確なフォームを維持して、と言う事も忘れてはならない。
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結び
言うまでもないと思うが念のため言っておくと、腰がアレだと言う人はデッドリフトはもちろんやらない方がいい。前ページの「腹筋と腰痛」を改めて確認していただきたい。