1:乳酸とは
エネルギー代謝のページの糖質代謝で、解糖系でATPを作る際に乳酸が産生されるしくみを解説しました。そのため解糖系の事を乳酸系と呼ぶ事もありますが、この産生された乳酸はこの後どうなるか?!
解糖系、つまり筋トレや400メートルなど
40秒前後の強度の高い無酸素運動ほど解糖系による糖質代謝が高まり乳酸値が高く
なります。
そしてこの乳酸の多くは肝臓に運ばれ、そこで再びグルコース(ブドウ糖)に分解され血液に放出されエネルギーとして利用されるのです。つまり乳酸は
疲労物質でもなければ筋肉痛の原因でもない
ということになります。とはいえ、運動時の疲労の目安として乳酸値を測定することは今でも行なわれることはあるので、乳酸を「疲労物質」と呼べるかどうかはまだまだ議論が絶えない所だと思いますが、直接の疲労の原因ではない事は以前から分かっています。
※有酸素運動時も、脂質だけでなく糖質もエネルギーとして使われるので乳酸が代謝物質として産生されますが、その量は少なく無酸素運動のように乳酸値が急増することなく血流によって肝臓へ送られています。
※この解糖系(乳酸系)システムの作動が本格化し始め乳酸生産量が急増するポイントを乳酸閾値(LT値=無機的閾値AT)と言い、持久力の目安となります。
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次は乳酸と筋トレの関係について考えてみよう。
2:筋トレと乳酸
筋トレは無酸素運動で、乳酸をより多く産生させる事により成長ホルモンが多く分泌され筋肉が発達すると考えられています。そのためこの無酸素運動の効果をより引き出すため、
乳酸系の運動が40秒ほどしか続かない
という原理を利用して、1セットにかかる時間が「40秒ほどが限界」な負荷に設定するのもトレーニングのコツです。
実際に筋トレをやっててたいがいは1セットに20秒くらいしかかかってなかったりしてないだろうか。しかしそれではあまり乳酸もでず筋肥大にはやはり足りない。いかにして「1セットに40秒間」にするにはやはりコツがあるのだ!
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解糖系で産生された乳酸は、ただ肝臓に運ばれるだけではなく、心臓や遅筋の筋細胞に直接運ばれ有酸素運動のエネルギーとして使われるなど、乳酸を活かした競技レベル向上の新たな可能性とは?!
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結び
ようするに乳酸が血液中に蓄積されてきた状態の時は筋肉が熱く筋肉痛になり、筋力と柔軟性が低下します。そのため乳酸が"疲労物質"ともよばれるようになったと思われます。
しかしもうお分かりのように、乳酸そのものもエネルギーとして再利用されるので決して乳酸そのものが疲労の原因というわけではないのです。
次はエネルギー代謝講座の最初の方に出て来たの肝心要の「基礎代謝・安静時代謝」についてくわしく学ぼう!