1:上げるときもゆっくり挙げる?
筋肉痛のメカニズムのページで、下ろす時は伸張性収縮を効かすためにゆっくり下ろすのが基本ということはわかりました。しかし挙げる時の速度は?上げ下げの速度で1セットにかかる時間も変わってくると思うけど筋トレ効果に影響は?!
実は
挙げる時もゆっくり挙げる
のが基本です。なぜなら
- 速く挙げようとすると勢いで挙がってしまい筋肉への負荷が軽くなってしまう
- 最初の加速時にストレスがかかる
からです。だいたい1秒から2秒ほどかけて挙げてみよう。勢いがつかないようにじっくり筋肉に効かせるように挙げて正確なフォームも固めていこう。ゆっくり動かすのはフォーム作りの目的もあるのです。
フォームが固まらないうちに速く動かしても「スピードアップのトレーニング」とはならず怪我の原因に
なりかねません。
2:下げるときの速度に気をつけよう
下げる時は
挙げの速度の2倍
を目安の速度で下ろしましょう。筋肥大のトレーニング時は特にこのような速度のコントロールが重要になってきます。
★下ろす時は挙げの倍の時間をかけてゆっくり下ろす!
▼こちらも!
3:負荷とのバランス
回数終盤で疲労してきたり、あるいは7、6RMくらいの高負荷になってくると、ゆっくり挙げようと意識する事自体が難しくなってきます。そうなったらもう
全筋線維を動員するつもりで全力で挙げ
よう。そもそもそれくらいの高負荷は、筋肥大よりも筋力アップを目指す負荷設定です(→筋力アップのメカニズム)。そして
下ろす時は挙げる時よりも遅い速度になんとかコントロール
して伸張性収縮を効かせよう。
※ただし軽い負荷であまりにもゆっくり挙げても負荷が軽くなりほとんどトレーニング効果がないので、しっかり筋肉に負荷がかかるように慎重に負荷設定をする必要があります。それが難しい場合は挙げの速度は意識せず、下しの時だけ「挙げの2〜3倍の速さ」に意識してやるとよい。
しかしここまで挙げ下げの動作スピードにこだわると、速さによって1セットの時間もずいぶん変わって疲労具合も変わってくるんじゃ・・・
そうです。その「1セットの時間」の設定方法というものもあるのです!!
4:1セット40秒!が筋肥大させる?!
目的によって挙げ下げの速度を変えると、同じ10RMの負荷でも、限界レップ数(回数)が変わってきます。普段10レップできる負荷もゆっくりにするほど限界レップ数が落ち「6レップほどしかできなかった」ということになります。
しかしこれではそのとおりですね。筋肉発達メカニズムのページで解説したように、筋肥大には乳酸を出してパンプアップさせたい、けど回数が・・・大丈夫です。やはり「時間」がカギです。筋肉発達メカニズムのページで解説したように、乳酸が多くでる運動とは糖質をメインエネルギーとする解糖系(乳酸系)エネルギー代謝です。そしてこの
解糖系の運動はだいたい40秒前後が限界
であり(→糖質エネルギー代謝とは)、それ以上になると脂肪エネルギーの割合が増える有酸素系の運動になります(→脂質エネルギー代謝とは)。ということは
★1セットに40秒前後かかる
ように、負荷を調節すればよいのです!つまり15回が限界の負荷(15RM)、10回が限界の負荷(10RM)、のような重さからの負荷設定ではなく、まず
1レップに何秒くらいかけるかを決めて1セットに40秒かかる負荷に負荷を調節する
のです。
例えば「普段の10RMの負荷で、1レップ挙げ下げ合計5秒」でトレーニングしてみて、6回もできず30秒足らずで終わってしまった」というような場合は
- 1回の挙げ下げ速度を少し速くしてみる
- 負荷を軽くしてみる
という二つのアプローチで1セットにかける時間を調節してみよう。
逆に同じ設定で10レップ以上余裕でできて50秒以上かかってしまった、というような場合はまちがいなく負荷が軽いので、負荷を上げるか速度をさらに遅くしてみよう。
5:1セットに要する時間を計ってみよう
実際に今現在続けているトレーニングメニューで1セットに何秒かかっているかを測定し
- 前述のように40秒かからなければ負荷を下げる、もしくは挙げの速度を速くしてみる
- 逆に40秒以上かかったら負荷を上げる、もしくは挙げの速度を遅くしてみる
「40秒前後で限界!」でうまく負荷調節すれば、だいたい10回前後から15回くらいにおさまると思います。
以上のやり方を実行すれば、筋肉をパンパンに「パンプアップ」することができるぞ!
※ただし初心者はこの方法ではなく、何秒かかってもいいからまずは10から15回正確なフォームで確実に反復できるようにしよう。
→筋トレの回数・セット数・頻度・タイミングなどについてQ&A
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結び
挙げ下げの速度や1セットにかける時間なんて今まであまり考えた事もなかったんじゃないかな?!ついつい速く終わらせようとしてあわててやると、フォームも崩れやすいのでとにかく意識してゆっくりやってみよう。かえってわけが分からなくなってしまった!という場合は動作速度もセット時間も考えなくてもかまわないからとにかく確実に目的の回数をこなすことを優先しよう。
さて、ここまではいわゆる「超回復理論」を前提に色々学んできました。しかし! トレーニング理論にはもう一つの理論があるのです!! 超回復理論ほど単純ではありませんがちょっとそれについても触れておきましょう。