1:セット法とは
全ページまでのトレーニング計画で筋トレプログラムを作る時に、「セット」「セット数」というのは繰り返し登場してきました。ではピラミッドセット法の「セット法」とは?これまでは、ただ「何RMの重量で何セット」という単純なプログラムでした。それに対して「セット法」とは
セットごとに負荷や種目を変えて一つのトレーニングプログラムに変化をつけてより筋肉に刺激をあたえて発達させようという方法
です。
ではセット法の効果を実感するために、セット法の基本中の基本「ピラミッドセット法」をやってみよう!
2:ピラミッドセット法
ピラミッドセット法とは
効果 |
負荷強度 |
最大反復回数 |
|
筋力アップ |
筋力アップ |
100% |
1RM |
90% |
<5RM |
||
筋肥大 |
80% |
<10RM |
|
筋持久力 |
70% |
<15RM |
|
60% |
<20RM |
||
※「1RM」とは全力で上げて1回上げるのが限界という意味。5RMなら全力で5回が限界の重さでそれがだいたい最大筋力(1RM)の90%ほどだと言う事です。逆にできた回数から逆算して最大筋力を割り出す事ができる。(例えば50kgで10回できれば50/0.8=62.5kg) |
今までやってきたメニューとピラミッドセット法とは何が違うか? 今まではだいたい上表の70から80%程度のトレーニングで、全セットを10回が限界の負荷になるような負荷調整でやってきたので、2セット目以降少し負荷を下げるか全セット同じ負荷でやってきたと思います。最初の3ヶ月くらいはそれでも十分筋肥大、筋力、筋持久力いずれもそれなりにアップできましたがさらにレベルアップするには
より高負荷でより多くの筋線維を動員させる
必要があります。特に「筋力は、停滞してなかなか上がらない」という人がほとんどだと思います。筋力というのは、筋肉の太さ=断面積に比例しますが、例えば上表の5RMの負荷を挙げるには
実際に5RMの重量負荷をかけなければ5RMを挙げられるだけの筋繊維が働いてくれない
のです(→筋力アップのメカニズム)。ピラミッドセット法、あるいはピラミッドシステムと呼ばれるやり方とは
今まで働いていなかった筋繊維クンたちに働いてもらうためにセットごとに負荷を上げていくセット法
なのです。ではピラミッドシステムの具体例を見てみよう。
ピラミッドセットシステムの基本プログラム
- ■1セット目----------30から50%ほどの低負荷で15回ほどウオーミングアップ感覚でやります。
- ■2セット目----------70%で10回。
- ■3セット目----------70から80%ぐらいで5から8回。
- ■4セット目----------90%ぐらいで限界まで。
- ■5セット目----------80%ぐらいで限界まで。
- ■6セット目----------70%ぐらいで限界まで。
- ※インターバル90秒以内(→インターバルのメカニズム)
このように、ピラミッドのようにセットごとに負荷を上げて、4セット目の高負荷セットから後の下りは逆に負荷を下げていきます。これは
上りのセットはオールアウトさせず、できるだけ高重量を上げるのが目的
※限界まで筋肉を追い込むことを「オールアウト」と言います。
つまり上りのセットは4セット目の最高負荷を上げるためのウオーミングアップのようなものです。逆に下りでは
とにかく限界まで追い込み筋肉をオールアウトさせ思いっきりパンプアップさせるのが目的(→パンプアップとは)
つまり
筋力アップ、筋肥大両方の条件を満たすことがでのがこのピラミッドセット法の効果
です。最後にまた60%くらいの低負荷でオールアウトさせてもよいです。4セット目を限界までやらず1、2回くらいにおさえ、5セットに同じかさらに高負荷のセットをはさむような、筋肥大よりも「数字アップ」を重視した次のレベルアップピラミッドシステムもありです。
3:レベルアップピラミッドシステム
ここでの100%とは最大筋力ではなくその日の「最高目標負荷」である。「今日は100キロに挑戦する!」のであれば100キロがその日の100%となる。
- ■1セット目-----50から60%程度でウオームアップ
- ■ 2セット目-----70% × 5から8回
- ■ 3セット目-----80% × 3から4回
- ■ 4セット目-----90% × 1から2回
- ■ 5セット目-----100% ×1
- ■ 6セット目-----5セット目以下 × 限界回数(+アシスト × 限界回数)
- ■7セット目-----6セット目以下 × 限界回数(+アシスト × 限界回数)
- ■8セット目-----7セット目以下 × 限界回数(+アシスト × 限界回数)
- ※インターバルはアップセットを除き3分前後
- ※4と5セット目の間に95%を入れてもよい。
- →インターバルのメカニズム
オリンピックの舞台に立っているようなつもりになって自分の中で盛り上がっていこう。ピラミッドの頂点で100%を見事挙げた、けど「おっ、軽いな」と思ったら、次のセットでさらに重くして金メダルに挑戦しよう。下りの6セット目以降の「アシスト × 限界回数」は筋肥大を重視しなければもちろんなしでよい。
ん?「アシスト × 限界回数」のアシストって?ここでピラミッドセット法をさらにレベルアップする応用セット法について解説!
フォーストレップス法
6セット目以降の「+アシスト × 限界回数」とは、限界で「もう挙がらない・・・」という時に、誰かに補助をしてもらって強引に挙げて続行してオールアウトつせる方法でフォーストレップス法といいます。ただし補助者がいないとできないし、補助者のアシスト技術の問題もあります。その代わりに次のようなテクニックがあります。
レストポーズ法(一時休止法)
限界がきたところでいったん数秒休み、そのまま同じ重量を再び挙げるという方法です。レストポーズを数回繰り返す地獄セットもいかがでしょうか?
ドロップセット(マルチパウンデッジ法)
限界が来た所でレストポーズ(一時休止)ではなくウエイト重量を下げてすぐ限界まで続行します。ウエイトプレートのつけかえに時間がかかるフリーウエイトより、マシントレーニング向きです。ドロップセットを数回繰り返す地獄セットもいかがでしょうか?
パーシャルレンジ法
稼働域を狭くしてトップレンジかボトムレンジだけで続行する方法。
チーティング法
反動をつけて続行する方法。
これらのテクニックの注意点は、補助者やドロップセットなどに「たよりすぎない」こと。特にドロップセットでは、負荷を下げて続行することで思ったほどオールアウトしてないのに「筋肉をハードに追い込んだぜ!」と錯覚しがちになる。基本のピラミッドセット法ではできるだけテクニックを使わずに同じ負荷で限界まで続行するようにしよう。
また、このような高負荷トレーニングプログラムはしょっちゅうやってはいけない。まずは一週間は十分回復期間をおき、記録をしっかりとつけていこう(→筋トレ記録の付け方)。
複数種目でのピラミッドセット法の応用プログラム例
例えば前ページまでで紹介した分割法で、ベンチプレスやスクワットなど腹関節種目をピラミッドセット法で先にやった後、カールなどの単関節種目を10~15RMX3セットで筋肉を追い込む。
むむ、ピラミッドシステムすごいけど、いくらなんでもこれはきつい!そもそも筋肥大と筋力アップ両方必要ない、ていう場合はどうしたらいいのでしょうか?例えば競技選手の場合はシーズンオフは筋肥大、シーズン直前は筋力アップ、というふうに年間計画の中で筋トレの目的を変える必要があります(→ピリオダイゼーションとトレーニングサイクル法)。そんな場合のセット法を紹介。
4:ピラミッドセット法のバリエーション
アセンディングセットシステム
これは筋力アップをメイン目的にしたセット法で、ピラミッドセット法の上りの部分だけを行うセット法です。
- ■1セット目-----50から60%程度でウオームアップ
- ■ 2セット目-----70% × 5から8回
- ■ 3セット目-----80% × 3から4回
- ■ 4セット目-----90% × 1から2回
- ■ 5セット目-----100% × 1
- ■ 6セット目-----100% 〜 90% × 1
- ■7セット目-----100% 〜 90% × 1
- ※インターバルはアップセットを除き3分前後(→インターバルのメカニズム)
終わりにクールダウンセットも入れると良い(限界まで反復はしない)。
ディセンディングセットシステム(ウエイトリダクション法)
こちらは逆に筋肥大がメイン目的で、レベルアップピラミッドセット法の下りの部分を強化して行います。「ウエイトリダクション法」とも言います。
- ■1セット目-----50から60%程度でウオームアップ
- ■ 2セット目-----70% × 5から8回 (ウオームアップ )
- ■ 3セット目-----80% × 3から4回 (ウオームアップ )
- ■ 4セット目-----85〜90% × 限界回数
- ■ 5セット目-----4セット目以下 × 限界回数
- ■6セット目-----5セット目以下 × 限界回数
- ■7セット目-----6セット目以下 × 限界回数
- ※インターバルはアップセットを除き90秒以内(→インターバルのメカニズム)
フォーストレップスやドロップセットをかけてさらに限界までやってもよい。
最後にインターバルについて補足解説。
5:ピラミッドセット法とインターバル
セット間のインターバル時間は、ここまで紹介した各ピッラミッドセット法いずれも
- 筋肥大のセットは90秒以内
- 筋力アップのセット間は3分前後
に設定していますが、これはインターバルのメカニズムのページで解説しているように、
- 筋肥大が目的-----インターバルは短め(90秒から1分ほど)で短時間で集中的に筋肉を追い込む
- 筋力アップが目的-----筋線維君を休ませてより多く働かすためにインターバルは長めに(90秒から3分ほど)設定してできるだけ重い負荷を上げる
というインターバル時間設定の原則にもとづいています。自分のレベルに合わせて長さを調節しよう。例えば筋肥大メインで次セットが軽く挙がって前回のトレーニングよりも回数がこなせた場合はインターバル時間を短くする、逆に重くて回数が落ちてしまった場合は長めにします。
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結び
どうだったかな?これからはっきりいってキツくなります。しかし今までの基本をしっかり理解していれば、そのキツさがむしろ快感になってきて、次の日筋肉痛が出ないと「ああっしまった!」なんて後悔するようになる日もそう遠くはないはずです・・・・・て、あまーい!もっともっとハードに筋肉をおいこむ方法をさらに学んでもらう!!このベージにも出てきたドロップセット法をもっと過激にやってみよう。