1:小胸筋のしくみと働き
ようするに僧帽筋の逆の働きをするのが小胸筋です。
僧帽筋 | ←→ | 小胸筋 |
肩甲骨の挙上 | 肩甲骨の下制 | |
上方回旋 | 下方回旋 | |
内転 | 外転 |
★肩甲骨が上方回旋すると小胸筋が下制に働く。この働きがベンチプレスなど肩甲骨を安定させるのに役立っている。しかし小胸筋が下制に働くと肩甲骨は下方回旋と外転もともなうため、ベンチプレスの時は僧帽筋も同時に働いて肩甲骨を内転に引きつけ安定させる。
次はいよいよあのギザギザ筋の登場だ!
2:前鋸筋のしくみと働き
一方その小胸筋の下方回旋の働きのこれまた逆=上方回旋の働きをするのがこの前鋸筋です。大胸筋の下の、脇腹の上の部分のあのギザギザ筋の正体がこの筋肉です。こんな所から背中の肩甲骨をコントロールしているというシブいやつです。が、完全に小胸筋の逆というわけではありません。
小胸筋 | ←→ | 前鋸筋 |
肩甲骨の下制 | ||
下方回旋 | 上方回旋 | |
外転 | 外転 |
あれ?小胸筋の下制に対して挙上動作は前鋸筋はしないんですね。それと外転動作だけは両方同じですね。つまりこの
小胸筋+前鋸筋二つの向きが正反対の動きをする筋肉が同時に働くと、上下回旋の動きが相殺され外転だけになる
のです!つまり伸ばした腕を前方に出したり引いたりする動作です。
※ただし完全に肩甲骨が「外転だけ」にはならない。外転にはどうしても上方回旋と前傾が伴います。つまり強く肩を前方に突き出そうとすると小胸筋よりも前鋸筋が優位に働いているという事にもなります。
ではそのコンビ筋の筋トレをやってみよう!
3:小胸筋の筋トレ
大胸筋トレのディップスを腕を伸ばしたまま上下動作。
- 胸をはって肩甲骨を内転させた体制からスタート
- 下げながら肩をすぼめるようにして肩甲骨を外転させる(ただし肩甲骨の下方回旋が働かないので、通常のディップスからフィニッシュに1の動作を加える方法でもよい)。
次はギザギザ筋の筋トレ!
4:前鋸筋の筋トレ
同じく大胸筋トレのダンベルベンチプレスをインクラインベンチ(→インクラインベンチプレス)で腕を伸ばしたまま上げ下げ。
- 上げながら肩をすぼめるようにして肩甲骨を上方回旋&外転させる。
- ベンチの角度が垂直になりショルダープレスになるほど肩甲骨の外転しなくなる。
- 逆にフラットベンチで垂直に上げ下げすれば肩甲骨の上下回旋が起こらず外転だけ、つまり前鋸筋と小胸筋両方のトレーニングとなる。
どちらも
肩甲骨だけを動かす
のがポイントなので普段のディップスやベンチプレスよりも軽めの負荷でやろう。
最後に上半身の筋肉とあばら骨が見える問題について。
5:あばら骨を目立たなくする筋トレ方法はありますか?
あばら骨(肋骨)の下の方は絶対見えてしまうものなので隠すことはできませんが、上部は大胸筋を鍛える事によって見えなくなります。下の方も大胸筋や前鋸筋、背中の広背筋、腹筋群など上半身全体をきたえることで、見えているとしても目立たなくなります。
ただし骨格や筋肉のつき方は個人差かあるのでどうしても肋骨が目立ちやすい体型というのはあるのかもしれません。しかしようは全身をきたえて全体的にたくましくなれば、それほど気にならなくなるのではないでしょうか。
結び
大胸筋のトレーニングでは肩甲骨を動かさないのが大胸筋に効かすポイントでしたが、こちらは逆に肩甲骨だけを動かすのが"大胸筋を使わない"ポイントです。次に紹介するローテーターカフと同様あまりトレーニングの実感が得られない地味筋ですが、肩甲骨をささえる重要なローカル筋(インナーマッスル)でもあります。
では次はその肩のいわゆるインナーマッスル「ローテーターカフ」のトレーニングについて学んでみよう。