筋力トレーニング・筋肉トレーニング講座

なぜいっしょうけんめい腹筋をやっても腰痛がなおらないのか?その1

腹横筋 腹横筋・・・・初めて耳にする人も多いかと思う。とりあえず左の絵を見るがいい。いわゆる「割れた」腹筋のことを腹直筋というが、その腹直筋の内側に、筋線維が横向きになった腹巻き状の筋肉があるのが見て取れる。これが腹横筋であるが、その形のとおりこの筋肉は内臓を巻くように囲む、まさに腹巻きの役割をしている。ちなみにこの腹横筋の上を覆うようにして内腹斜筋(筋線維は中央から斜下方向に走る)、さらにその上を外腹斜筋(筋線維は中央から斜上方向に走る)が覆っている。このように腹筋とは縦(腹直筋)横(腹横筋)斜(腹斜筋)各方向すべてをカバーするように構成されている。

さらに言うと、腹巻きというよりはコルセット、あるいは腰痛ベルトと言った方が適切かもしれない。そもそも腰痛の時になぜベルトをするのかである。ようするに、ベルトをしめることにより腹内部の圧力を高め、横隔膜を押上げ脊柱起立筋を起こすのを補助しているのである。これによって脊柱起立筋の下部=「腰」にかかる負担を軽減する。

ウエイトリフティングの選手がベルトを着用するのも同じ理由による。相撲のまわしや和服の帯も同様の役目を果たす。だから腹横筋なのである。つまり天然の腰痛ベルトを我々人類は生まれながらに持っているのである。この考えに基づく限り、六つに割れた腹直筋だけを一所懸命きたえても、腰痛の予防にも解消にもならない。なぜなら腹直筋とは基本的に、上体を丸めるための筋肉だからであり、やり方によってはさらに腰痛を悪化させるおそれがある。それよりもこの腹横筋をきたえることが重要といえる。やり方はかんたんだ。壁に背をつけて、腹をへこます運動をするだけだ。さらに負荷をかけるにはうつ伏せか、四つん這いになる。自分の腹筋そのものの重さをウェートにするのである。さらに負荷をかけるには、外科手術をして腹筋にフックをとりつけ、ウェートをぶらさげる。

さらに右の絵をみてほしい。これは腰痛の人にありがちな姿勢を横からみたところと骨盤の状態を示している(わるい方がこの姿勢の骨盤の状態)。骨盤が後傾し、腹横筋もゆるみ、内臓が下がっていわゆる「下っぱら」も見事に出てきた状態である。言うまでもないが、わかりやすいようにややオーバーに表現している。逆にこのような姿勢を続けていると腰痛を引き起こす可能性がある。ではなぜこのような姿勢になってしまうのか?・・・・それは次回のお楽しみである。もったいぶるなって?気に入らないなら帰れ。わるいが今回はここまでだ。

姿勢 骨盤
大沼きん "腹巻き、使ってる?"

次回は12月3日筋曜日「なぜいっしょうけんめい腹筋をやっても腰痛がなおらないのか?その2」(予定)です。お楽しみに!

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第6回:三角筋の謎・ショルダープレスとサイドレイズ
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