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左の絵をみてほしい。大胸筋の動きを再現したものである。肩甲骨が見えやすいようにやや小さくデフォルメしている。大胸筋が、上腕骨から肋骨・鎖骨をつなぐ肩関節の単関節筋であることは一目瞭然である。
※実際の動きとはくいちがう場合もあります。 |
ベンチプレスの注意点としてよく言われる「左右の肩甲骨をよせる」のはこのためである。つまり肩甲骨が動かないようできるだけ安定させて肩関節の動きをとりだすためである。また肩甲骨をよせる、つまり内転させることにより大胸筋がよりストレッチされてトレーニング効果もあがる。ちなみに肩甲骨の内転には僧帽筋と菱形筋が働き、背骨と左右の肩甲骨をつないでいる。また外転には前鋸筋と小胸筋が働き、これらは大胸筋の内側にあり肩甲骨と肋骨をつないでいる。(前鋸筋と小胸筋については日を改めてする)
今回は前回に続いて、「なぜベンチプレスや腕立て伏せで肩を痛めるのか?」だが、ようするに腕を肩と水平にしなければよいだけである。右の絵をみてほしい。よくバーを下ろす位置をどのへんにもってくればいいという話があるが、オッパイの形など人によってちがう。むしろ肩の水平ラインと腕の角度をどのくらいとるかで考えた方がわかりやすい。だいたい30゜から60゜ぐらいの間でちようどよい。バーを下ろす位置が、息を吸い込んで胸がふくらみ大胸筋が最大限ストレッチされた状態での最も高い位置より少し鎖骨よりにするとだいたいちょうどよい角度のベストポジションがえられる。水平に近い方が大胸筋はよりストレッチされ、稼働域を大きくなるので、問題がなければもちろん30゜より上でもかまわない。絵でもわかるように、手と肘のラインを地面と垂直に保てば水平に近くなるほどグリップ幅は広くなる。あとは個人差で、一番効くポジションを自分でみつけていくしかない。 |
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しかしいくらやっても大胸筋にきいてこないという人もいる。そこで左の絵をみてほしい。バーベルを使用したベンチプレスとダンベルを使用した場合の大胸筋の稼働域のちがいを示している。明らかにバーベルを使用した場合の方が大胸筋の稼働域は小さいのである。まして肩幅に比べ手の比率が長い人はバーの移動距離も長くなるのでどうしても上腕三頭筋が先に疲労してしまう。手が長ければバーベルのベンチプレスは不利なのである。逆に肩幅が広い人は大胸筋も長く大きいので最初からかなりの重量を上げられるはずだ。 |
肩の故障についてがテーマなので、もう一つ余談がある。左上の絵をみてほしい。普通にベンチプレスをすれば、バーベルは頭上の仮想の位置を中心点とする弧をえがく軌道をとおる。肘は肩を中心とする円周上をとおる。これが自然な動きである。しかし右の絵のように中心点が下にあり逆の軌道をえがくマシンが存在する。ワタクシは何種類かのマシンを試してきたが、中心が上にあるマシンやバーベルでなれたワタクシは、この中心が下にあるタイプのマシンを使うと確実に肩をクラッシュした。逆に中心が上にあるマシンではどんなに高重量をあつかっても一度もクラッシュしたことはない。もちろん下にあるタイプのマシンでも問題なくトレーニングしてる人はいくらでもいる。きっとワタクシのやり方がまちがっていたのだろう・・・・だからどーだってんだ?文句があるなら帰れ。 |
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さて今回はここまでだ・・・・おっと、つり橋の話を忘れていた。右の絵をみてほしい。僧帽筋と肩甲骨の関係である。左の肩甲骨と鎖骨左端の赤いラインは僧帽筋との付着点である。肩甲骨とは鎖骨とつながってる以外は骨格的にはまったく宙に浮いた状態でありその鎖骨も肋骨中央部につながってるだけである。それを僧帽筋がまさにつり橋のようにつり下げるように支えている。少しでもバランスがくずれればつり橋は崩壊する。肩甲骨周辺のトレーニングがいかに重要であるかがよくわかる。
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"肩甲骨は健康への架け橋だ!"
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さて肩甲骨とはしばらくお別れである。次週は腹筋と腰痛の話である。え?腰痛なんかないって?そんなこと知るか。いやなら帰れ。以上、大沼きんでした!
次回は11月12日筋曜日「なぜいっしょうけんめい腹筋をやっても腰痛がなおらないのか?」(予定)です。お楽しみに!
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◆第8回:インナーマッスル<棘上筋、棘下筋、肩甲下筋>
◆第7回:広背筋の謎・ベントオーバーローとラットプルダウン
◆第6回:三角筋の謎・ショルダープレスとサイドレイズ
◆第5回:なぜいっしょうけんめい腹筋をやっても腰痛がなおらないのか?その3
◆第4回:なぜいっしょうけんめい腹筋をやっても腰痛がなおらないのか?その2
◆ 第3回:なぜいっしょうけんめい腹筋をやっても腰痛がなおらないのか?その1
◆ 第2回:なぜベンチプレスや腕立て伏せで肩を痛めるのか?その2
◆ 第1回:なぜベンチプレスや腕立て伏せで肩を痛めるのか?
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